妊娠をきっかけに「仕事を辞めようかな」と考える方は少なくありません。つわりや体調の変化、通勤の負担、職場の雰囲気など、理由は人それぞれです。
ただ、辞めるタイミングや辞め方によって、受け取れるお金が大きく変わることは意外と知られていません。この記事では、妊娠を機に退職する前に知っておきたいお金と制度をまとめました(2026年10月時点の情報です)。
「妊娠で退職してもったいなかった」と感じる理由
知恵袋などのQ&Aサイトでは、妊娠を機に退職した人から次のような声がよく見られます。
- 退職後に、産休・育休を取っていればもらえたお金があったと知った
- 夫の収入だけになり、思っていたより家計が苦しくなった
- 子どもが大きくなってから再就職しようとしたら、思うように仕事が見つからなかった
一方で、「体調が悪くて続けられなかったので、辞めてよかった」「子育てに専念できて後悔はない」という声もあります。どちらが正解ということはなく、知ったうえで選ぶことが大切です。
退職すると受け取れなくなる可能性があるお金
| お金・制度 | 内容 | 退職した場合 |
|---|---|---|
| 出産手当金 | 産休中に給与の約3分の2 | 条件を満たせば退職後も受け取れる(下で解説) |
| 育児休業給付金 | 育休中に休業前賃金の67%(181日目以降は50%) | 退職すると受け取れない |
| 社会保険料の免除 | 産休・育休中の健康保険・厚生年金保険料が免除 | 退職すると対象外。国民年金・国民健康保険(または夫の扶養)に切り替え |
| 出産育児一時金 | 1児につき原則50万円 | 夫の扶養に入れば家族出産育児一時金として受け取れる |
特に大きいのが育児休業給付金です。育休を1年取った場合、休業前の収入によっては合計で100万円以上になることもあります。
退職しても出産手当金をもらえる条件
勤務先の健康保険に加入している人は、次の条件をすべて満たせば、退職後も出産手当金を受け取れます。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職日が、出産手当金を受けられる期間(出産日以前42日〜)に入っている
- 退職日に出勤していない
退職日に挨拶などで出勤してしまうと、条件を満たさなくなるので注意が必要です。退職日の決め方は、勤務先の担当者と事前に相談しましょう。
失業給付は「受給期間の延長」を忘れずに
妊娠・出産で退職した場合、すぐには働けないため、失業給付(基本手当)を受け取れません。ただし、ハローワークで受給期間の延長を申請しておけば、働ける状態になってから受け取れます。
- 延長できるのは最長4年(本来の1年+最大3年)
- 退職の翌日以降に、住所地のハローワークで手続き
- 申請が遅れると全額を受け取れないことがあるので、退職後早めに手続きする
辞める前に確認したいこと
- 産休・育休を取れないか:法律上、条件を満たせば産休・育休は取れます。妊娠を理由に退職を求めることは法律で禁止されています
- 時短勤務・業務の調整ができないか:つわりがつらい時期だけ配慮してもらえることもあります
- 母性健康管理指導事項連絡カード:医師から指導があった場合、このカードで勤務先に通勤緩和や休憩などの配慮を求められます
- 退職日はいつにするか:出産手当金の条件を満たせるかどうかで、受け取れる金額が変わります
- 退職後の健康保険と年金:夫の扶養に入るか、国民健康保険・国民年金に加入するか
- 家計の見通し:夫の収入だけで生活できるか、毎月の支出を一度書き出してみましょう
職場との話し合いで困ったときは、各都道府県の労働局(雇用環境・均等部)に無料で相談できます。
退職を選ぶ場合も、準備しておけば安心
体調や家庭の事情で退職を選ぶことも、もちろん大切な選択です。退職する場合は、次のことを準備しておきましょう。
- 出産手当金の条件を満たせるよう、退職日を調整する
- 失業給付の受給期間延長を申請する
- 妊娠・出産でもらえるお金(妊婦のための支援給付、出産育児一時金、児童手当など)を確認しておく
まとめ
- 妊娠を機に退職すると、育児休業給付金や社会保険料の免除が受けられなくなる
- 被保険者期間1年以上などの条件を満たせば、退職後も出産手当金は受け取れる
- 失業給付は受給期間の延長を申請しておく
- 辞める前に、産休・育休や働き方の調整ができないか確認を
妊娠・出産でもらえるお金の全体像は「妊娠・出産でもらえるお金一覧」でまとめています。
※この記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度の条件は、勤務先・加入している健康保険・ハローワークで必ず確認してください。
